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先進国の中でも最も高齢化が進んでいる国といわれ、高齢化率(全人口に占める65歳以上の人口の割合)は、約3割に迫る勢いです。高齢者の増加とともに、ひとり暮らしのお年寄りへのケアや、老後の生活対策など、さまざまな課題が出現しています。高齢のご両親、ご家族に対して、これから何をすべきなのか。ここでは、高齢者の生活や財産を守るための対策を解説します。

 

お独り様対策

高齢者のひとり暮らし、いわゆる「お独り様」と呼ばれる状態では、高齢者の身の安全や生活の質を保つための対策が必要です。民間でもさまざまなサービスが提供され始めています。たとえば「見守りサービス」「高齢者向け生活介助つき集合住宅サービス」といったものです。これらは確かに、高齢者の身の安全や生活の質を保つために、役立っています。

しかし、こうったサービスだけではカバーしきれない問題があるわけです。それは「介護トラブル」「財産の管理や処分」といったものです。これらは高齢者の生活の根幹にかかわるものであり、本人だけではなく、ご家族を巻き込んだ問題に発展することが特徴です。では、具体的にどういった対策が必要なのかを個別に解説していきます。

 

介護トラブル・介護全体に対する対策

高齢者の増加とともに、いわゆる有料介護サービス、介護施設が増えました。それに伴い、介護にまつわるトラブルも増加しています。具体的には、次のようなケースです。

  • ・手厚い介護を売りにしていた施設に親をあずけたところ、食事の提供や移動時の介助などが不十分で健康状態が悪化した。
  • ・特別養護老人ホームなどで健康状態の悪化が見られているにもかかわらず精密検査をせず、重大な病気への罹患が見逃されていた。

こういったトラブルは、当事者(高齢者)自身が事の経緯を十分に把握できないうえに、ご家族の目も届きにくいため、泣き寝入りになってしまう可能性があります。また、トラブルの解決には相手方(施設運営企業・団体)との交渉が必須であり、相応の時間や労力がかかってしまうのです。
施設を監督・指導する自治体の介護保険課や、国民健康保険団体連合会への相談、という手もあります。しかし、結果的には「本人同士で解決して」と言われることも少なくないようです。本人同士の解決方法といえば「慰謝料請求」や「介護訴訟」が最終手段になるでしょう。もし、介護に強い弁護士がいれば、こういったトラブルを未然に防ぐことも可能です。

 

後見手続の利用

高齢者にまつわる問題として「認知症」があります。認知症は、本人の判断能力を低下・喪失させてしまうため、財産の管理や契約に支障が出てしまいます。もうすこし法律的に説明すると、認知症によって「自分の行為が法的にどういった結果や意味を発生させるかを認識・判断する能力=意思能力」が無くなってしまうとされています。意思能力が無い状態での法律行為は「無効」と判断されることもあるため、本人確認が必須になるような行動には著しい制限がかかるわけです。

良い例が「銀行口座からの預金引き出し」や「預金口座の解約」です。例え妻であっても、本人確認が必須となるため、「ただ妻(もしくは家族)である」というだけでは手続きが進まないのです。もちろん、本人が認知症であれば、そもそも手続き自体を正常に完了できません。この他にも、「不動産の売買」や「携帯電話などの契約・解約」などにも支障が出るでしょう。

こういった認知症への対策として、「後見制度」を利用することがおすすめです。後見制度は、認知症や知的障がい、精神障がいによって意思能力が低下している方を保護する制度です。特に「成年後見制度」は、本人(高齢者)が行った「財産に関する法律行為(契約等)」について包括的に代理する権限を持ち、契約自体の取り消しも可能です。成年後見には、以下2つの種類があります。

  • ・法定後見…本人が認知症になった後に申し立てる
  • ・任意後見…本人が元気なうち(意思能力があるうち)に、将来に備えて備えて後見人を予約する

また、後見人はたとえ身内であっても財産の横領や使い込みといったトラブルが散見されるため、公正中立で信頼のおける第三者(弁護士など)への依頼がおすすめです。

 

家族信託の利用

高齢者の財産を守るための方法として、「家族信託」の利用もおすすめです。家族信託は、資産を持つ人が特定の目的のために、信頼できる家族に資産を託し、管理・処分などを任せる仕組みです。平成18年の信託法改正によって、より身近で使いやすくなり、新しい財産管理手法として注目されています。

家族信託では「受託者(信頼できる家族)」が「委託者(財産を持っている高齢者)」に財産の管理・運用を任せることができます。また、財産の管理・運用・処分によって発生した利益を「受益者」に給付することも可能です。

家族信託は、高齢者自身が元気なうちに始めることができ、受託者(家族など)との合意だけで契約が完了するシンプルな制度です。成年後見制度のように家庭裁判所への申立てなどは必要ありません。

ちなみに、家族信託の利用では、委託者と受託者の間で信託契約を締結します。このとき、契約書の作成方法やチェック事項などに不安がある場合は、弁護士などへ依頼しておくと、より安心です。

 

老後の生活対策には法律の専門家のサポートが必要

このように、高齢者の生活や財産を守るには、いくつかの法律的な手続き・制度の活用がおすすめです。特に成年後見制度や家族信託については、あまり一般的とはいえないため、専門家の知識・ノウハウを活用すべきでしょう。民間の見守り系サービスと併せて、高齢者の生活対策として、弁護士への相談を検討してみてはいかがでしょうか。

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