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第5章 将来生じる相続についての検討ーその1

1 贈与についての注意点

相続が開始する前の生前に、財産を贈与して、相続人間の紛争を予め回避したり、相続税を軽減したりする方法が考えられます。
贈与に関する注意点は以下のとおりです。ご参考下さい。
ⅰ) 贈与は、贈与する人と贈与を受ける人との契約ですので、遺言と異なり、一方的に行うことはできません。
ⅱ) また、書面で契約しない贈与は、贈与の目的物を引き渡すなど贈与契約の履行が終了するまでは、いつでも撤回できますので(つまり贈与をやめることができます。)注意が必要です。
ⅲ) 贈与の中でも、贈与する人が亡くなってはじめて贈与を受ける権利が生じるという死因贈与といわれるものがあります。この死因贈与は、遺贈に関する法律も適用されますので、注意が必要です。
※詳しくは当事務所にご相談下さい。
ⅳ) 贈与税について
個人が、他の個人からの贈与によって財産を取得した場合に課せられる税金です。ただし、死因贈与は、相続税として課税されるため、贈与税はかかりません。
贈与税の計算は、贈与された価格から基礎控除(110万)を差引いた価格を下記の表の税率を乗じて計算します。
贈与税の税率は、相続税の税率に比べはるかに高い設定になっています。具体的には、下記の比較表のとおりです。

相続税と贈与税の税率比較表

相続税 贈与税
法定相続分による各人の取得金額 税率 贈与された金額-110万
1000万以下の部分 10% 200万以下の部分
1000万超3000万以下の部分 15% 200万超300万以下の部分
3000万超5000万以下の部分 20% 300万超400万以下の部分
5000万超1億以下の部分 30% 400万超600万以下の部分
1億超3億以下の部分 40% 600万超1000万以下の部分
3億超の部分 50% 1000万超の部分

贈与は、一年間(1月1日~12月31日)の贈与額が、基礎控除の範囲であれば、課税はありませんから、相続税の節税として一つの有効な手段として考えられています。
平成15年からは、「相続時清算課税」制度が創設され、一定の要件を満たせば、2500万までは、贈与税はかからないことになりました。ただし、その名のとおり、贈与された額は、相続発生時に遺産に含めて相続税を計算しなければなりませんのでご注意下さい。

2 遺言書の作成の注意点等

① 遺言書を作成する動機、目的

遺言を作成する動機や目的は、人によってさまざまですが、いくつか挙げてみますと、
・ 自己の財産を、誰に、どの財産を、どのように、取得させるかを決めて、相続人間の紛争を回避したい。
・ 自己の死亡後、残された夫、妻や子の安定的な生活を確保したい。
・ 配偶者の住むところを確保したい。
・ 財産をできる限り子孫に残したい。
・ 余分な税金を支払わなくてすむようにしたい。
・ 相続権のない人に財産をあげたい。
・ 祭祀の承継者を決定したい。
・ 第三者に適切な遺産の分け方を決定してほしい。
・ ある相続人には財産を渡したくない。
・ ある相続人を相続から廃除したい。
・ トラブルがある財産を整理し、あるいは、そのトラブルを最小限度に抑えたい。
・ 現在営んでいる事業について円滑に継続したり、承継させたい。
・ 自分の考えや思いを伝えたい。
などという場合が多いと思います。

② 遺言書の作成の注意点

以下において、遺言書作成の検討の一助になればと思い、遺言に記載する内容及びその注意点を記載しました。ご参考頂ければ幸いです。
 ⅰ) 遺言書は、いずれの遺言であっても、厳格な要件を満たさないと効力が生じませんので、注意が必要です。
 ⅱ) 遺言を作成すれば、法定相続人ではない人に相続させたり、法定相続分と異なる割合で相続させたりすることはできますが、遺産をもらう人(「受遺者」といいます。)が、これを潔しとせず、遺産をもらうことを放棄することができます。
    従って、遺言書を作成する前に、遺産をあげようと思っている方に、その意思を確認することも検討されるべきでしょう。
ⅲ) 特定の財産を相続させるか(特定遺贈)、財産の全部とか、遺産の内一定割合を取得させるか(包括遺贈)財産を取得させる方法を決める必要があります。
 ⅳ) 遺言に書かないと効果が生じないものがあります。
主なものだけを簡単にあげると以下のようなものがありますので、以下のような場合は遺言書を作成すべきでしょう。
以下のほかにもありますが、詳しくは当事務所にご相談下さい。
・ 子の認知
・ 相続分の指定
・ 遺産分割方法の定め
・ 相続分の指定や遺産分割方法を第三者に委託すること
・ 5年を超えない一定期間遺産分割を禁止すること
・ 相続人の廃除
・ 遺言執行者の指定
・ 遺留分減殺方法の指定
・ 祭祀承継者の指定
・ 相続人以外の人に財産を取得させること
・ 寄付
 ⅴ) 以上のほか、遺言書を作成するメリットは以下のとおりです。
・ 事業を営んでおられる場合、その事業を承継する人に事業用の資産を遺言で後継者の方に残すことが可能となります。
・ 相続人の中に行方不明者がいて、将来遺産分割をするときに所在不明で手続が煩雑で困ることが予想される場合に、遺言で相続分の指定や遺贈をしておくと便利でしょう。
・ 同じ人に同じ財産をあげる場合にも、相続税や不動産の登記の際に必要となる登録免許税が異なる場合があります。
以下において、簡単に触れますが、詳しくは、当事務所にご相談下さい。
ⅵ) 相続人の中には、遺留分を有する人がありますので、その人が遺留分減殺請求権を行使すると、遺贈や贈与については、遺留分の減殺請求をされる場合がありますので、必ずしも遺言書に記載したとおりの財産が全部遺言書で記載した人に取得されない場合があることに注意して下さい。

次回ー遺言書の内容と生前贈与の方法に関する若干例ーその2

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