相続問題を解決する名古屋の弁護士法律事務所

弁護士法人 東海総合

土曜日・夜間も相談対応

 052-232-1385

受付時間 9:00~18:00(平日)

 お問い合わせ

『特別寄与料とは?新設された特別の寄与を解説』

昨年施行された改正相続法により、「特別の寄与」の制度が新設されました(民法第1050条)。この改正によって、相続人以外の親族であっても、無償で被相続人の介護等の労務の提供をしていた場合には、特別寄与料として金銭の支払いを請求できることになりました。

 

では、具体的にこれまでの相続法とは何が変わったのでしょうか、どのような場合に特別寄与料の請求ができるのでしょうか。

 

1.これまでの相続法

 

改正以前から、相続法には「寄与分」の制度が定められています(民法第904条の2)。これも「特別の寄与」と同じく、被相続人の療養看護等の貢献をした者が相続財産から分配を受ける制度です。

 

しかし、法律上「寄与分」を主張できる人は相続人に限定されています。そのため、相続人ではない者が療養看護等の貢献をした場合は、「寄与分」によって財産の分配を求めることはできません。

また、貢献をした者の配偶者が相続人であれば、配偶者の寄与分として貢献を考慮することもありますが、配偶者が先に死亡している場合には相続人が存在しないことになるため、貢献を考慮することができません。

 

他にも民法には、被相続人の療養看護等をしていた者に相続財産を分配する「特別縁故者」の制度もあります(民法第958条の3)。しかし、この制度には相続人がいる場合に利用できないという問題があります。

 

このように、これまでの相続法では、相続人ではない親族が被相続人の療養看護等の労務提供をした場合に、その貢献を考慮できないことがありました。

 

2.今回の改正点

 

上記の問題点に対応するため、今回の改正で「特別の寄与」の制度が設けられました。この改正により、相続人以外の親族であっても、無償で被相続人の介護等の労務の提供をしていた場合には、特別寄与料として金銭の支払い請求ができるようになりました。

 

要件は次のとおりです。

 

① 相続人以外の被相続人の親族であること

親族とは、六親等以内の血族、配偶者、三親等以内の姻族をいいます(民法第725条)。

そのため、内縁の配偶者等は請求することができません。

 

② 無償で療養看護、その他の労務を提供したこと

無償で労務の提供をしていることが必要です。そのため、被相続人から報酬を貰っている場合は除外されます。ただし、通常の場合と比べて著しく少額の報酬であるような場合には請求が認められる可能性があります。

また、単に仕送りをしている場合等は、労務の提供に当たらないため請求が認められません。

労務の提供はある程度継続的に行われる必要があり、一時的に労務の提供をしただけでは請求が認められない可能性が高いです。

 

③ 被相続人の財産の維持又は増加が存在すること

②の労務の提供によって、被相続人の財産の維持又は増加が存在することが必要です。

したがって、財産的な貢献が必要であり、精神的な貢献の場合は請求することができません。

 

④ 特別の寄与があること

どのような場合に「特別の寄与」が認められるかについては難しい問題がありますが、特別の寄与者の貢献に報いるのが相当と認められる程度の顕著な貢献がある場合に該当すると考えられています。すなわち、誰が貢献したかよりも、どんな貢献をしたかが重要になると考えられます。

 

3.請求の方法と請求金額

 

特別寄与料は、原則として当事者間の協議によって決まることになります。

 

しかし、協議が調わないときや協議をすることができないときは、家庭裁判所に判断してもらうことができます。

その際は、寄与の時期、方法、程度、相続財産の額、相続債務の有無及び額などの様々な事情を考慮して金額を判断します。

どのような寄与をしたかにもよりますが、介護等をした場合であれば要介護認定通知や医療機関の領収書等、家業に従事した場合であれば確定申告書や給与明細書等を求められることが多いです。

 

4.弁護士にご相談を

 

以上のとおり、「特別の寄与」とはどのようなものか、今回の改正でどのような請求ができるようになったのかをご説明しました。

 

「特別の寄与」制度によって、今まで請求することができなかった人であっても金銭請求ができるようになりました。

しかし、請求が認められるか、どの程度の金額を請求できるかについては判断が難しいこともあります。

 

そこで、特別寄与料の請求にお悩みの場合には、ぜひ弁護士にご相談ください。

 

令和2年8月5日

 

弁護士法人東海総合

弁護士 若林 大介

その他のコラム

『異母兄弟・異父兄弟も相続人?』

親や兄弟が亡くなった際に、これまで全く付き合いの無かった腹違いの異母兄弟・異父兄弟、場合によっては存在すら知らなかった異母兄弟・異父兄弟が突如現れて、遺産の分配を求めてくることが稀にあります。 このような際に困窮しないためにも、法律上相続人となる範囲や取り扱いについて予め正しい知識を持っておくことが大切です。 では、そもそも異母兄弟・異父兄弟は相続人となるのでしょうか?   1.異母兄弟・異父...

特別受益② ~ 遺留分との複雑な関係について

前稿では、「特別受益」について具体的な例を挙げながら基礎的な部分を解説いたしました。   そこで今回は、発展的な部分として、「特別受益」と遺留分との関係について解説したいと思います。   1 特別受益の持戻し 前回のおさらいになりますが、「特別受益」とは、「“相続人の一部”が、被相続人から受け取った“特別な受益”」をいいます。   ここにいう“特別な受益”...

自分でもできる相続調査

一般的に誰かが亡くなると、葬儀の手配や遺品の整理のほかに「誰が相続財産を受け継ぐのか」「相続財産はどれくらいあるのか」といった調査が必要になり、これを「相続人調査」、「相続財産調査」と呼びます。 近年は相続についてのマニュアル本も複数出版されており、「戸籍の取寄せは自分でしてきたので、これからどうすればよいのか教えて欲しい」と相談にいらっしゃる方もいます。   そこで、本稿では、相続人調査・相続財産...

特別受益① ~ きょうだいは他人の始まり

遺産分割でよくある相談の一つに「特別受益」があります。   例えば、「妹は大学に行かせてもらったのに、自分は高卒で家業を継がなければならなかった。妹の学費分は遺産から引けませんか?」といったような相談が数多く寄せられ、しかも「きょうだいの縁を切って、今日は相談に来ました。」という方も少なくありません。   そこで、本稿では、特別受益の概要と、どのような場合に特別受益が考慮されるのか、...

『相続法の改正によって図られた配偶者保護とは?①~総論』

2018年7月1日より施行されました改正相続法において,「配偶者の保護」が図られることとなりました。   そこで,本稿では「配偶者の保護」,より正確には「配偶者の死亡により残された他方配偶者の保護」について,どのような改正がなれたのかを概観していきたいと思います。   1 配偶者短期居住権(1037条以下)   まず,「配偶者短期居住権」というものが新設されまし...

遺産分割・生前対策法律相談お問合わせ

まずはお気軽に、お電話またはフォームよりお問い合わせください。