コラム
第4章 遺言がある場合の相続手続についてーその2
2 遺言執行について
遺言の執行とは、遺言に記された内容を実現することです。
しかし、遺言には、
① 遺言の内容を実現するために遺言執行者(遺言を執行する人)の執行を必要とするもの、
・ 推定相続人の廃除及びその取消
・ 認知
② 遺言の内容を実現するために遺言執行者又は相続人の執行行為を必要とするもの、
・ 遺贈
・ 祖先の祭祀主宰者の指定など
③ 遺言が効力を生じたことによりその内容は法的に実現し特に執行を必要としないもの、
・ 相続分の指定及び指定の委託
・ 遺産分割方法の指定及び指定の委託
・ 遺産分割の禁止
・ 遺贈の減殺の順序、割合の指定など
があり、遺言に記されているからといって必ず遺言の執行をしなければならないものではありません。
遺言執行者について
遺言執行者は、遺言に記された内容を実現する人のことです。
① 遺言で指定されその就職を承諾した人、
② 遺言で遺言執行者を指定することを委託された人から指定を受けた人、
③ 遺言執行者がいないときに、相続人などの利害関係人が家庭裁判所に申立てることによって選任された人
のことをいいます。
遺言執行者は、相続財産の管理、その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利と義務を有していますので、遺言執行者がいる場合、相続人は、相続財産を処分したり、その他遺言の執行を妨げたりするような行為をすることはできませんので注意が必要です。
遺贈の承認と放棄手続について
遺言によって遺産の全部または一部の譲与(遺贈)する場合、大きく分けて、財産の全部または財産の例えば4分の1というように分数的割合で遺産の一部分を包括して遺贈する包括遺贈と、特定の財産について遺贈する特定遺贈があります。
包括遺贈を放棄する場合には相続放棄と同様に3か月以内に家庭裁判所に手続を行う必要がありますが、特定遺贈を放棄する場合には、特に期限や家庭裁判所への手続の必要はありません。
〒460-0003 愛知県名古屋市中区錦二丁目4番23号 シトゥラスTビル
弁護士法人東海総合 TEL 052-232-1385 / FAX 052-232-1386
その他のコラム
『法改正で変わる自筆証書遺言を解説』
昨年、相続法について、じつに約40年ぶりとなる大幅な改正がなされました。 改正された分野は相続法の中でも多岐に渡りますが、中でも、遺言、とりわけ一般の方々も関わる可能性が高いと考えられる自筆証書遺言についても、改正の対象となりました。 では、そもそも自筆証書遺言とはどのようなものでしょうか、また、今回の改正ではどのようなことが変わったのでしょうか? ...
寄与分はいかにして認められるのか ~あんなにお世話してあげたのに!
1 相談事例 先日、祖父が亡くなりました。祖父は昔から体調が悪く、生前はわたしの母がずっと身の回りの面倒を見ていました。 それなのに、たまにふらっと顔を見せるだけだった叔父が、「俺が長男なんだから、遺産を分けるときには、もっと配慮してもらわないと困る」と言って、半分ずつ分けようという母の提案を受け入れてくれません。 聞いたところによると、寄与分というものも請求できるらしいとのことですが、わたしたちは今後どうすればよいので...
『異母兄弟・異父兄弟も相続人?(その2)』
以前、本HP上に異母兄弟・異父兄弟の相続分等についてのコラム(https://tokai-e-souzoku.com/column/277/)を掲載させていただきましたが、今回は同コラムの第2弾となります。 近時、相談者の方から弊所に寄せられる異母兄弟・異父兄弟との間の相続紛争相談の中で、とりわけ多いのが、「親が亡くなり戸籍を調べたところ、異母兄弟・異父兄弟の存在が発覚した。遺産協議に参加させなければならないのか?」とい...
第4章 遺言がある場合の相続手続についてーその1
1 遺言について 遺言(いごん)は「人が死後のために残す言葉」という意味に用いられておりますが、法律的には、「財産の処分方法や認知などの身分関係に法的に効力を生じさせる目的で、一定の方式に従って行う意思表示」という意味があり、次のような7種の方式があります。 検認手続きについて、封印のある遺言は、偽造等を防ぐために、家庭裁判所において、相続人またはその代理人の立会がなければ、開封できません。勝手に開封してしまうと過料に処...
特別受益① ~ 兄弟は他人の始まり
遺産分割でよくある相談の一つに「特別受益」があります。 例えば、「妹は大学に行かせてもらったのに、自分は高卒で家業を継がなければならなかった。妹の学費分は遺産から引けませんか?」といったような相談が数多く寄せられ、しかも「きょうだいの縁を切って、今日は相談に来ました。」という方も少なくありません。 そこで、本稿では、特別受益の概要と、どのような場合に特別受益が考慮されるのか、...
