相続問題を解決する名古屋の弁護士法律事務所

弁護士法人 東海総合

土曜日・夜間も相談対応

 052-232-1385

受付時間 9:00~18:00(平日)

 お問い合わせ

第3章 遺言がない場合の相続手続についてーその1

1 相続の単純承認、限定承認、放棄について

 遺言がない場合は、上述のとおり、単純承認、限定承認、放棄のいずれにするか決定する必要があります。以下それぞれについて説明します。

① 単純承認とは

 相続が開始したら、相続を承認することができます。
 相続を承認する(単純承認)とは、被相続人の権利義務をそのまま承継することで、必ずしも積極的な意思表示や手続を必要としません。
 したがって、自己のために相続の開始を知った後3か月以内に限定承認または相続放棄をしなかった場合、相続財産の全部または一部を売却するなどの処分行為をしてしまった場合、限定承認または相続放棄をした後でも相続財産の全部または一部を隠したり、使ってしまったり、または悪意で財産目録に記載しなかったりした場合には、単純承認とみなされてしまいますので、限定承認や相続放棄を考えているときには、注意が必要です。

② 相続放棄とは ~ 債務が相続財産より多いときに有用です。

 相続が開始したら、相続を放棄することもできます。
 相続放棄は、初めから相続人とはならなかったものと扱われますので、相続により財産も取得しませんが、借金等の債務も相続しません。
 従って、相続により取得する財産よりも、相続することになる借金の方が多い場合などに有用です。
 自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に別途家庭裁判所に対して手続をして受理されることが必要です。
亡くなった日から3か月が過ぎてしまった方でも、家庭裁判所に、相続放棄が受理される場合もありますし、逆に放棄手続が完了した場合でも相続財産を処分した場合等放棄したと認められなくなる場合もありますので、詳しくは、当事務所へご相談ください。

③ 限定承認とは ~ 遺産と債務(借金など)のどちらが多いかわからないときなどに有用です。

 相続を放棄するのではなく、限定承認の申述(申立)をすることもできます。
 限定承認の手続きをすれば、相続した遺産の範囲内で、亡くなった人の債務(借金など)を弁済すれば足りますし、もし、弁済して残りがあれば相続人の方が取得することができます。
 限定承認しても、相続人となるのですが、自分の財産から弁済する必要はありません。
 従って、遺産と債務(借金など)とどちらが多いかわからないときなどに有用です。
 限定承認の手続は、相続放棄と同様に自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に家庭裁判所に対して手続をすることが必要ですが、加えて相続人の全員が共同して手続を行う必要がありますので注意が必要です。
 有用な手続ですが、相続人の中から相続財産管理人が選任されるなど、相続放棄に比べて専門的な知識を要しますので、限定承認の手続をお考えの方は、当事務所へご相談ください。

遺言がない場合の相続手続についてーその2

お問い合わせはこちら

〒460-0003 愛知県名古屋市中区錦二丁目4番23号 シトゥラスTビル
弁護士法人東海総合 TEL 052-232-1385 / FAX 052-232-1386

その他のコラム

第1章 相続が生じたら、まず、すべき事

はじめに すでに相続が生じている場合 相続が生じたら、まずすべきこと相続開始当初から気をつけておくこと 【遺言がない場合】 ・承認・限定承認・...

相続放棄はどこまでやるべき?

先日、「相続放棄について、全員でしなければならいないと聞いたのですが、どのようにすればよいのでしょうか?」というご相談をいただきました。   そこで、本稿では、相続放棄の範囲について解説したいと思います。   1 相続放棄とは   相続放棄とは、被相続人の残した財産(遺産)の一切を相続しない手続きのことをいいます。   相続放棄をすると「初...

特別受益① ~ 兄弟は他人の始まり

遺産分割でよくある相談の一つに「特別受益」があります。   例えば、「妹は大学に行かせてもらったのに、自分は高卒で家業を継がなければならなかった。妹の学費分は遺産から引けませんか?」といったような相談が数多く寄せられ、しかも「きょうだいの縁を切って、今日は相談に来ました。」という方も少なくありません。   そこで、本稿では、特別受益の概要と、どのような場合に特別受益が考慮されるのか、...

寄与分はいかにして認められるのか ~あんなにお世話してあげたのに!

1 相談事例 先日、祖父が亡くなりました。祖父は昔から体調が悪く、生前はわたしの母がずっと身の回りの面倒を見ていました。 それなのに、たまにふらっと顔を見せるだけだった叔父が、「俺が長男なんだから、遺産を分けるときには、もっと配慮してもらわないと困る」と言って、半分ずつ分けようという母の提案を受け入れてくれません。 聞いたところによると、寄与分というものも請求できるらしいとのことですが、わたしたちは今後どうすればよいので...

『特別寄与料とは?新設された特別の寄与を解説』

昨年施行された改正相続法により、「特別の寄与」の制度が新設されました(民法第1050条)。この改正によって、相続人以外の親族であっても、無償で被相続人の介護等の労務の提供をしていた場合には、特別寄与料として金銭の支払いを請求できることになりました。   では、具体的にこれまでの相続法とは何が変わったのでしょうか、どのような場合に特別寄与料の請求ができるのでしょうか。   1.これまで...

遺産分割・生前対策法律相談お問合わせ

まずはお気軽に、お電話またはフォームよりお問い合わせください。